株式会社NTTドコモ
2021年2月、NTTドコモは、5GやAI、IoTなどの最新技術を活用したサービスやソリューションの展示を行うイベント「docomo Open House 2021」をオンライン上で開催。そのプラットフォームとして配信されたアプリ「Virtual Event Platform」のコアとなる部分でPhotonを採用しました。今回は、非ゲーム向けサービスPhoton Industries(以下、Photon)採用に至るまでの経緯と導入後の印象を、開発に携わったNTTドコモ・移動機開発部の方々に語っていただきました。
取材協力 R&Dイノベーション本部 移動機開発部 担当課長 村上 圭一氏 主査 野村 貴則氏 担当 田中 祐貴氏
―「docomo Open House 2021」について教えてください
「docomo Open House 2021」は、200を超えるドコモおよびパートナー企業の展示をお楽しみいただけるイベントです。昨今の社会情勢を踏まえて初めてオンライン上で開催し、各種のバーチャルイベントを開催できるアプリ「Virtual Event Platform」をプラットフォームに展開しました。
―「Virtual Event Platform」とは、どのようなアプリですか?
ドコモ・移動機開発部で開発したアプリで、イベント参加者は「Virtual Event Platform」の中で自分の顔写真からアバターを生成し、バーチャル空間を移動してさまざまな展示会を体験できます。また知人たちと最大10人のグループをつくって音声通話も可能です。
―特に人気だったコンテンツは?
人や物を立体動画撮影してデジタル空間上で再構成する映像技術Volumetic Videoを活用した「VRバドミントン」や、女優の浜辺美波さんによる「ジェスチャークイズ」、3Dオブジェクトや動画をお楽しみいただける展示ブースの「直感×アルゴリズム♪(おうちでバーチャルライブ)」が特に人気でした。「今までにないVR表現」として注目していただきました。
―「Virtual Event Platform」の開発期間はどれくらいでしたか?
「docomo Open House 2021」をオンラインで行う検討を始めたのは2020年5月のことでした。そして夏ごろから「Virtual Event Platform」をスクラッチで作り始め、約半年という短期間で完成させました。
―なぜPhotonを使うことになったのでしょうか?
「Virtual Event Platform」のコンセプトは、「今までリアルで行っていたイベントをバーチャルに置き換え、参加者同士や展示物の担当者とリアルタイムでコミュニケーションが取れる」というものでした。したがって、アバター同士が同じ空間を共有し、音声通話などのコミュニケーションをとれる必要がありました。
それを可能にするSDKを探していたところ、Photonを知り、アバター同期の部分で「Photon Unity Networking2」 (PUN2) を、グループコミュニケーションで「Photon Voice2」を採用しました。
―Photonを採用した決め手を教えてください
おもな理由は3つあり、ひとつはPhotonのネームバリューです。他社のゲームやVRイベント用のアプリでPhotonがよく使われているのを知っていました。
もうひとつは、実はドコモで「Virtual Event Platform」よりも前にグループ内でコミュニケーションできるアプリを試作したことがあり、そこでPhotonを使っていたからです。
そして最後に、今回は開発期間が非常にタイトだったため、「Photonは短期間で導入できる」というのも大きな魅力でした。
―Photonを導入した感想は?
かなり使いやすくて驚きましたね。Photonは、ゲームエンジンUnityで使えるSDKですが、「PUN」や「Voice」のAppIDをWEB上のダッシュボードで発行し、そのIDをUnityに導入したアセットで適用、必要なスクリプトを用意する等、アバター同期と音声通話だけでいうと、それらで実装できたので、非常に導入がラクでした。
Photonを導入した後、「Virtual Event Platform」の使用テストを行い、Photonが担った部分もチェックしましたが、アバターの同期が最初からスムーズにできて、音声通話も簡単に行えました。
―Photonを導入して良かったことは?
「アバター同期」と「音声通話」という重い機能を、約1ヶ月という短期間で簡単に導入できたことが何より良かったですね。仮にPhotonが担った部分を自分たちで開発するとなると、かなり大変です。外部に発注してもこんなにスムーズに上手くいかなかったでしょう。本当に使いやすかったです。Photonを採用したことで、開発期間やリソースの削減につながりました。
また、PhotonはメジャーなSDKなので、使い方などのドキュメント類が豊富なのがいいですね。サポートも非常に手厚くて、たとえば「音声の品質を改善したい」と思った時にいくつか質問させてもらったのですが、とても丁寧に教えてもらい、改善することができました。サポートの手厚さも含めて考えると費用面もリーズナブルだと思います。
―「docomo Open House 2021」に参加した方々の反応と、今後について教えてください
「docomo Open House 2021」は無事に成功し、ユーザーアンケートの結果、「Virtual Event Platform」も高評価をいただきました。コンシューマーの方々に使っていただいたのはもちろん、多くの企業様にも「Virtual Event Platform」を体験いただき、ドコモの技術力を知っていただくことができました。
Photonには「Virtual Event Platform」のコアな部分を担ってもらいました。オンラインイベントはこれからも行う予定で、このプラットフォームは今後も活用していくので、Photonをこれからも使っていきたいですね。
Company Name | 株式会社NTTドコモ |
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